有名絵画を自由なテーマで、好き勝手に選んでみました!
アートって意外とツッコミどころ満載なものが多いし、人物画に勝手な妄想するのも非常に面白いんです。
『女子会してみたい名画の美女』『この絵○○にしか見えない』など、
私の個人的な好みや感情でチョイスした18作品を紹介・解説していきます。
カラーコーディネーターが選ぶ【有名な画家・絵画作品】簡単解説!
女子会したい
「このメンバーで女子会したら楽しそうだなぁ♡」
そんな女性たちを名画から選んでみました。
お店や飲み物も決めています。(後述)
上村松園【春のよそをい】
美人画の巨匠、上村松園は私のお気に入り日本画家の一人。
松園の描く美人は品があって優雅、着物の色合いや繊細な模様も非常に美しいです。
東郷青児【遠い街】
東郷青児の描く女性の多くは、魔性の女感が溢れていて、くねっと女らしいポーズとセクシーリップが印象的。
画家自身恋多き男性で、しかもグチャグチャな恋愛ばかりだったようです。
タマラ・ド・レンピッカ【緑の服の女】
この独特な画風と鮮やかな緑は、強烈なインパクトがあります。
少々気が強そうですが、ファッションもスタイリッシュだしモダンな雰囲気で、とにかくかっこいいです。
エドガー・ドガ【アブサント(カフェにて)】
まず、女子会の場所はこの絵のカフェ【ヌーヴェル・アテーヌ】を希望。
なんと、テーブルの脚がありません!
是非行ってみたいです。
女性の前には『アブサン』という緑色のお酒が置いてあり、これは安価でアルコール度数が高いお酒。
安く酔えると当時の芸術家の間で大流行しましたが、麻痺・痙攣・幻覚などの中毒症状は社会問題となり、多くの国で製造・販売が禁止になりました。
アブサン中毒だったとされる芸術家には、ゴッホ、ロートレック、モディリアーニ などがいます。
※現在、バーなどでアブサンのカクテルを飲めるところがありますが、幻覚作用などはないので心配ありません。
絵の中の女性は、女優のエレン・アンドレ、目がうつろでヤバそうな表情です。
そんな女優も交えて、みんなでアブサンリキュールの緑色のカクテルを楽しむ女子会、楽しそうじゃないですか?
ちょっと怖いけど、何回も見ちゃう
フランシス・ベーコン【ベラスケスの「法王インノケンティウス十世の肖像」に基づく習作】
画家ディエゴ・ベラスケスの【インノケンティウス10世の肖像】をベースに描かれた作品。
この絵を見て感じるのは、恐怖・絶望・苦しみ、などで口を大き開けて叫ぶ顔がとにかく怖いです。
電気を流されてガタガタと痙攣しているようにも、暗く深いどこかに落とされているようにも、足元が爆発してるようにも見えます。
フランシス・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス【我が子を喰らうサトゥルヌス】
ギリシャ神話のクロノス(ローマ神話該当名:サトゥルヌス、英語名:サターン)が将来自分の子供に殺されるという預言に怖くなって、5人の子供たちを次々に食い殺す物語を描いた絵です。
普通丸呑みかなと思いますが、しっかり食べてるところが残酷でゾッとします。
ルーベンスも同じ題材の絵【サターン】を描いていますが、ゴヤの絵のようなグロテスク感はありません。
ベルナール・ビュッフェ【ピエロ(自画像)】
小学生の頃、母と美術館に絵を観に行った時に次回展示のポスターを見て衝撃を受けましました。
「なんて気持ち悪い絵なんだろう…」
印象派の明るく華やかな絵を見た後だったから特にそう思ったのか、小学4年生の私はベルナール・ビュッフェの人物画がたまらなく不快に感じたのです。
今は個性がある絵と思っていますが、「嫌いなのに忘れられなーい」という感じでした。
※私が当時見たポスターは違う道化師の絵で【ピエロ(自画像)】ではありません。
ご興味があったら検索してみてください!
神田日勝【室内風景】
私が初めてこの絵を知ったのは中学生の頃。
美術の教科書に載っていた【室内風景】を見て、なんとも言えない不気味さと闇のようなもの感じたのをよく覚えています。
なんか嫌なのにそのページを何回も見てしまう、そんな感じで強く脳裏に焼き付いた絵です。
神田日勝と言えば、未完成(半身だけが描かれている)の【馬】が有名で描き方が独特ですし、知れば知るほど興味を惹かれる画家です。
気になるところあり
アンリ・ルソー【田舎の結婚式(婚礼)】
ルソーは「素朴派」を代表する画家で、パリの税官吏として働きながらの日曜画家でした。
【田舎の結婚式(婚礼)】に限らず、ルソーの作品はどれも気になるところだらけなのですが、
何と言っても花嫁が宙に浮いています。
それに、花嫁の手を握っているのは隣の男性?右端の男性?なんだか手の感じも謎です。
他にも、空気椅子の子供やおかしい遠近法、得意の宙に浮いた人など、気になる作品がたくさんあるルソーの絵はアート初心者も楽しめること間違いなし!
作家 原田マハさんの小説『楽園のカンヴァス』もオススメ。
内容も面白いですし、ルソーのことが大好きになっちゃいます。
アニーニョ・ブロンズィーノ【愛の寓意】
この絵にはリンゴ、砂時計、仮面、鳩などあらゆる物が描かれていますが、これらの物は複雑な意味やメッセージを暗示していて、目に見えている絵以上の意味や物語を持たせています。
このような絵を寓意画といい、この作品は大変有名な寓意画であり、非常に難解な寓意画でもあります。
そのあたりの難しいことは置いといて、私が気になって見てしまうのがヴィーナスの隣に位置するひょっこり顔を出した少女。
半目でちょっと微笑んでいる感じが絶妙、一人だけ物凄く写真写りの悪い人に見えます。
手になんか持ってるけどコレ何かな?
ジャン・フーケ【ムランの聖母子】
天使の赤と青、そして肌の白、強い色の対比が印象に残る作品です。
このマリア様の胸ですが、3つあった乳房の真ん中をとったのかなと思うほど離れています。
ボールみたいな球体の胸が片方はだけていますが、実に重そう。
でも、私が1番気になって見てしまうのが、左下の赤い天使。
お尻から足のラインのツヤ感が、どうしても赤ウインナーに見えてしまいます。
たまに思い出してしまう
小倉遊亀【浴女その一】
この絵の画家、小倉遊亀は105歳と長生きをした女性で、亡くなる年まで素晴らしい作品を描いています。
しかも43歳の時に30歳も年上の男性と結婚しています。
(6年後に彼が亡くなったので短い結婚生活でした)
エメラルドグリーンのお湯がゆらゆらしている様子が、タイルの歪みや色の濃淡からよくわかります。
私がたまに行く温泉が、まさにこんな淡い緑色のお湯と白いタイルで、必ず【浴女その一】を思い出してしまいます。
※【浴女その二】は脱衣所の絵ですが、こちらは全く思い出しません。
ジャン=オノレ・フラゴナール【ブランコ】
フラゴナールはロココ美術を代表する画家。
この絵でブランコを後ろから押している男性は、ピンクのドレスを着た女性の夫。
そして、女性のスカートの中を見ているのが愛人、という自由奔放で驚きの登場人物です。
当時、ブランコ(性)・サンダル(尻軽)を暗示するモチーフで、横でキューピッドが「内緒だよー」と口元に指を立てています。
ドラマや映画など、ブランコに座っている男女が出てくる場面はこの絵を思い出すことがあります。
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール【ダイヤのエースを持ついかさま師】
この絵のカモは見て分かるように、右端の豪華な衣装の男性。
3人のずるい顔に全く気づいていません。
左端の男性はベルトの後ろにダイヤのエースを隠し持っており、共犯の女性二人の鋭い視線が見事です。
私はたまに子供たちとトランプをして遊ぶのですが、この絵が頭に浮かびます。
可愛いマリア様・美しい宗教画
ラファエロ・サンティ【ベルヴェデーレの聖母】
ラファエロはルネサンスの三大巨匠の一人で、最もバランスのとれた人物です。
(技術・仕事の仕方・性格など)
彼の描くマリア様はどれも美しくて優しい母だと一目で分かるものものばかり。
子供を見守る表情が穏やかでまさに聖母です。
ディエゴ・ベラスケス【聖母戴冠】
アトリビュートといって『○○を持っていたら○○』という、絵の人物を特定できるアイテムがあります。
ex)香油を持っていたらマグダラのマリア、毛皮の服や十字の杖を持っていたら洗礼者ヨハネ など
赤と青の服も聖母マリアとわかるアトリビュートの一つ。
この絵では紫と紺色を使っていて、より高貴でオシャレな感じがします。
伏し目がちなマリア様も麗しいですね。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ【見よ、我は主のはしためなり(受胎告知)】
女性関係がグダグダだったロセッティの描く女性が私は大好きで、このマリア様も可愛いです。
まず、受胎告知とは大天使ガブリエルが処女懐妊したことを告げにくるシーンなのですが、この絵(受胎告知)には伝統的な決まり事があり、
- マリアの衣装は赤と青
- マリアは書物を読んでいる(ところに天使が来る)または書物を描く
- ガブリエルが左でマリアが右
- ガブリエルは膝まずいて祝福のポーズ
- 純潔のシンボルである百合の花・頭に金の輪
などがあるのですが、この絵は色々変えていて、
私には病院っぽい場所に閉じ込められて怯える美女に見えます。
普通に考えて、知らない人(しかも天使)がいきなり来て、記憶にない妊娠(しかもお腹の子は神)を告げられたら、誰だってあんな感じになりそうです。
※決まり事は絶対ではありません。
ギュスターヴ・モロー【出現】
煌びやかなオリエント風の衣装を身にまとい、浮かぶ生首を凝視するサロメの表情が妖艶で怪しい魅力たっぷり。
この絵は、踊りの褒美として洗礼者ヨハネの首を所望する新約聖書の物語によるもの。
大変多くの画家に好まれた主題で、どれもヨハネの首がのったお盆を持つサロメがほとんどです。
しかし、この絵は【出現】という名前の通り、鮮血が滴るヨハネの首の幻影が出現した様子が描かれています。
光輝く生首と目が合ってる状態でこのポーズ、肝が据わっていてかっこいいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「なんかわかる!」「確かにそう見える!」そんな絵がいくつかあったかもしれません。
技術や構図・時代背景・画家など、難しいことはわからないという人でも『純粋に面白いと思う絵・なぜか気になる絵』はたくさんあるものです。
ご紹介した18作品は、私の勝手な妄想が入っていたり私的見解もありますが、絵の楽しみ方は自由なのでみなさんも堅苦しく考えず絵画鑑賞を楽しんでくださいね!
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