目立つと思った色が意外と目立たなかったのはなんで?
ポスターや横断幕、ライブ会場やパーティーでのファッションなど『目立たせたい・目立ちたい』と思う場面があります。
そんな時は目立つ色を使うのが手っ取り早く効果的ですが「目立つと思った色がさほど目立たなかった」という経験をお持ちの人も多くいることでしょう。
場所や時間によって色を上手に使うと驚くほど目立たせることが可能ですよ。
目次
目立つ色とは?
目立つとは、人目を引く・際立って見えるの意。
どのような色が目立つ色なのでしょうか。
鮮やかな色=目立つ色
目立つ色と言ったら、赤?黄色?
確かにどちらもよく目立つ色なのですが、どのような赤なのかどのような黄色なのかで印象は大きく変わります。
真っ赤・真っ黄色など、絵の具やクレヨンにある誰もが思い浮かぶ色(赤・黄色・青・緑・紫など)を純色と言います。
これらの色は白・黒・灰色が全く混ざっていない色、基本となる色たちです。
つまり、この純色に白・黒・灰色を混ぜることでたくさんの色ができるということ。
白・黒・灰色の混ざりが無い(混ざりが少ないほど)鮮やかといい、逆に白・黒・灰色が多く混ざっているとくすんでいると言います。
鮮やかな色は派手でよく目立ち、くすんだ色は地味で落ち着いた印象を与えます。
純色は最も鮮やかな色ですから、最も目立つ色なのです。
暖色と寒色の見え方の違い
暖色と寒色という言葉は聞いたことがある人が多いでしょう。
暖色とは、見た時に温かさや暑さを感じる色のことで【赤・黄色・オレンジ】など。
寒色とは、見た時に寒さや冷たさを感じる色のことで【青・青緑】などです。
この暖色と寒色は温度感以外に、時間帯によって目立ち度が変わります!
まず、太陽が出ている明るい時間によく目立つのが暖色系。
しかし、昼間は鮮やかに目立って見えた赤や黄色は、夕方暗くなってくるとだんだんくすんで見えにくくなってきます。
逆に夕方から夜に鮮やかに目立ってくるのが青です!
これは周りの明るさによって視細胞の感度が移行するため。
暗くなると短波長(青)の光に対する感度が高まるため、赤や黄色に比べて青が明るく鮮やかに見えるのです。
これをプルキンエ現象といい、指示標識が青いのは夕方暗くなっていく時間帯でも見落としを少なくするためと言われています。
看板でも洋服でもどの時間帯に目立たせたいかで色使いを考えるのも有効です。
注意力が高い赤
- 『止まれ』の標識
- 消防車
- 危険を表す看板
など、注意を促す色として赤が多用されているのは、赤が特別な意味を持つ色だから。
人が興奮した時に分泌されるアドレナリンというホルモンは赤を見ることによって活発になりますし、人や動物の血を連想することから本能的に注視してしまう色ともされています。
鮮やかな暖色系である赤は「注意価値」も非常に高いので、目立つ色No.1と言えるでしょう。
色は組み合わせが重要
2色以上の色の組み合わせのことを配色と言います。
インテリアでもファッションでもポスターでも、何色を選ぶかよりも大事なのは何色と何色を組み合わせるか、つまり配色が大事です。
色相差がある配色は目立つ
上記の図は色相環といって、色の基本とされる純色を並べて輪にしたもの。
色相(色)の輪(環)これは虹の順に並んでいて、色相環上で離れた位置にある色ほど目立ちます。
180度離れた色同士を補色といい、色の差が大きい分色味の違いがはっきりするためよく目立つのです。
逆に色相差が小さいと似た色の印象が強まるため統一感が出ますが派手さや目立ち感は低くなります。
ファッションにおいても色の差で見え方が大きく変わりますね。
ストールやお洋服の柄も対照的な色を使っているものは印象的で目立つということです。
明度差がある配色は目立つ
色の考え方は赤・青・黄色といった色みの違いだけではありません。
例えば同じ青でも【明るい・暗い】といった明るさ(明度)の違いで様々な青があります。
- 明るい色(明度が高い色)とは白がたくさん混ざっている色
- 暗い色(明度が低い色)とは黒がたくさん混ざっている色
(ダークグレーが混ざっている色なら暗い色になり、ライトグレーが混ざっているなら明るい色になるということ)
この明るさの違いが大きいほど地色と図色がはっきりするので目立ちます。
また、色相差に違いがあると目立ちますが、同じような明るさの場合は文字が読みづらくなってしまいます。
白黒コピーをした時に見やすいものは明度差が大きい配色と言えるのです。
ファッションで色味に統一感がある落ち着いたコーディネートでも、明るい色と暗い色を合わせると互いの色をはっきりするので目立ちますね。
縁取りがあると見やすくなり目立つ
似たような明るさ(明度)の組み合わせは非常に読みづらいのは前述の通り。
しかし、そのような場合でも縁取り(セパレーション)をすることで読みやすくなり、文字やマークを目立たせることができます。
例えばこのピンクのボーダーは離れれば離れるほど単色に見えます。
ここに縁取りがあることで2色のピンクの違いが明瞭になるのです。
セパレーションの色は、白・黒・灰色を使うことが多く、明度や彩度(鮮やかさ)に差がある色を選ぶと良いでしょう。
目立つ配色とはっきり見える配色は異なる
遠くからでもはっきり見える配色がある一方、近くでも見えにくい配色があります。
このように目で見た時の見やすさのことを視認性と言います。
視認性が高い配色
視認性が高い配色のランキング トップ10です。
工事現場や道路標識など遠くからでもはっきりわかる必要があるものは上位の配色になっています。
また、本や非常口など私たちが普段からよく見かける配色も多いですね。
視認性が低い配色
視認性が低い配色のランキング トップ10です。
地色と図色の差があまり無いものや、鮮やかな色同士の組み合わせで目がチカチカと疲労を感じる配色が多いです。
赤と緑、赤と青などは色でいうと目立ちますし、黄色と白のファッションの人もなかなか目立つもの。
しかしながら、目立つ=はっきり見える では無いということがわかります。
まとめ
目立つ色といっても、目的によって使う色や組み合わせは異なります。
ポスター・横断幕・看板などはただ目立っても文字が読みやすくなければ意味がありませんし、
ファッションで目立ちたい場合もそこにおしゃれさがなければ格好悪いですね。
色は情報を伝達する力と美的要素を付加する力を持っています。
どちらも大事なポイントなので両方兼ね備えた『目立つ』を意識しましょう。
また、色覚多様性といって色の見え方は人によって様々。
少数派とされる色覚を持った人にとっても見やすく目立つ色使いを考えると良いですね!